いちご畑よ永遠に

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Cabaret - Sally Bowles from "Cabaret"

youtu.be

ミュージカル『キャバレー』より。サリーのナンバー

先日If You Could See Herのエントリーで映画版と舞台版では内容が違うという話をしましたが、その影響が最も顕著なのがこの表題曲です(上に挙げたのはリバイバルの舞台版。映画版はこちら)。

映画版でのサリーは自分の生き方に対して前向きに力強くこの曲を歌いますが、舞台版のサリーは他に選択肢のない中で選ばざるをえなかったのがこの道だった。ゆえに映画版には見られない悲愴感が漂っています。同じ曲、同じ歌詞でありながらここまで様相を変える、ここにこの曲、ひいてはこの作品の面白さがあるんだと思います。どんなにポジティブなメッセージを発信している人でも、その人の背景次第ではむしろそうした明るい言葉の方が痛々しく聞こえてしまうことってあると思います。そういう「言葉が心を裏切る」言葉の持つ二重性がこの作品におけるこの曲では浮き彫りになるのではないかと。まあこの歌詞はそもそもそんなにポジティブというわけではないですが。

私はこの曲が大好きで、YouTubeでめちゃくちゃ検索して見てるんですけどその中でも圧巻のインパクトだったのはこちらのPia Douwesバージョン。この人、他にも映画版っぽい歌い方をしてるバージョンもあるんですけどあまりに違いすぎてびっくりします。動画越しでも分かる感情の迸りにこちらも心かき乱されること間違いなしです。必見。他にJudi Denchバージョンも抑制された感情の中に時折爆発するものが感じられ、こちらも好きです。

ちなみに日本語訳のついたバージョンもあり、そこの訳がとてもいいのでこのエントリーよりもむしろそっちを見てください笑  動画も下に載せておきますね↓

CABARET キャバレー 今 陽子 UPG‐0039 - YouTube

 

 

 

Cabaret

ひとりぼっちで部屋に座っていても

何の得にもなりゃしない

音楽の鳴る方へ行きましょう

人生はキャバレー

キャバレーへ来て頂戴

編み物、読書、お掃除なんてやめて

休暇の時がきたよ

人生はキャバレーよ

だからキャバレーへ遊びにきて

 

ワインを飲んで

バンドの演奏を聞いて

ホルンを吹いて

お祝いしよう

こっちに席も用意してあるよ

不吉な予言ばかりする占い師のせいで

顔を曇らせて何になる?

人生はキャバレーよ

だからキャバレーへ遊びに来てね

 

昔私にはエルシーっていう女友達がいた

チェルシーで安アパートを四部屋シェアしてた

彼女、花盛りの生娘とは程遠かった

実は言うと時間単位で体を売ってたの

あの子が死んだ日、近所の連中が笑いながらやって来た

「クスリとアルコールのオーバードーズのせいね」なんて言って

でも女王様みたいに横たえられた彼女を見たとき

あの子、今まで見たこともないほど幸せそうな顔をしてた

 

その日以来私はエルシーのことを考えてる

あの子いつも振り返ってはこんなこと言ってたっけ

 

「ひとりぼっちで部屋に座っても

何の得にもなりゃしない

音楽の鳴る方へ行きましょう

人生はキャバレー

キャバレーへ来て頂戴

編み物、読書、お掃除なんてやめて

休暇の時がきたよ

人生はキャバレーよ

だからキャバレーへ遊びにきてね」

 

だから私は

私は

私はチェルシーで心に決めた

死ぬ時がきたら

エルシーのように死んでやるのだと

 

まずは認めなよ

揺り籠から墓場まで

そんなに長くは生きられないんだって

人生はキャバレー

所詮はキャバレーでしかない

私はそんなキャバレーが大好きだ