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Heaven On Their Minds - Juda from "Jesus Christ Superstar"

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ミュージカル『ジーザス・クライスト=スーパースター(Jesus Christ Superstar)』よりユダのナンバー。

みんな大好きアンドリュー・ロイド・ウェーバー作ミュージカル、その中でも彼の最初の出世作となったのがこの作品。元々コンセプトアルバムとして作られたものをミュージカルにすることでブロードウェイでもヒットを飛ばし、日本では劇団四季による紹介で有名になりました。この曲は作品で歌われる最初のナンバーです。ユダを主人公の一人に据えることは当時としてはとても冒険的試みだったと思いますが、そんな裏切り者ユダの歌うジーザスへの敬愛の念と現状への危機感が胸に迫る歌詞です。これ、なんとなくですけど自分の大好きなグループ/アイドルといった応援の対象が何かのきっかけで有名になった時、古参ファンがアンチへと姿を変えてしまう現象の説明になっているような気がします笑 対象に対し盲目的に熱狂する人たちへの危機感、いつしかその「信者」の声だけを拾うようになってしまった憧れのあの人。そして袂を分かってしまう、と。そういう風に見ていくとなんだか「あー」と合点がいったりもする歌詞ですね。愛情がこうして憎しみに変わり、愛憎半ばする厄介な"アンチ"が生まれてしまうんだな…

そして歌詞もですが、これ曲自体めちゃくちゃカッコいいんですよね!上に挙げたのは映画のバージョンですが、オリジナルのアルバム版ももちろん超クールだし、そして個人的にはベースがブンブン唸りを上げるブロードウェイ版もとてもカッコいい。この作品は正直ジーザスよりも、マリアよりもユダ役こそ皆の憧れの的なのではないかと思われます。

なお余談ですが現在クイーンのボーカルとして活躍しているアダム・ランバートくんも、その名が知られる以前にこの曲を歌っていました(参考: Adam Lambert American Idol 2009 Pre Idol Days Heaven on Their Minds LIVE PERFORMANCE - YouTube)。それにしてもアダムは歌が上手いですね。彼は今のように歌手として活躍する前、元々ミュージカル俳優としてブロードウェイに立つ経験をしていました。こうして見るとやはりこの曲がミュージカル人にとって憧れの曲の一つであることがうかがえますね。

 

 

 

 

 

 

 

Heaven On Their Minds

私の心は今はっきりした
今や私には我々のそう遠くない未来の姿が
痛いほど目に映ってしまう
この男の謎が暴かれた時
我々の行く末は決まってしまうのだ、ジーザス!
貴方は奴らの語る己の姿を
信じ始めてしまっている
貴方は「神の言葉」とやらが真実だと
本当にそう信じてしまっているのか
貴方のしてきた善行は
そのうち忘れられるだろう
貴方の語った言葉以上に
貴方自身が重要な存在になりつつあるのだ

 

ジーザス、これは好ましい状況じゃない
お願いだから私の言うことを聞いてくれ
忘れたのか、私はずっと貴方の右腕であり続けた
貴方は奴らを焚きつけたのだ
奴らは貴方を新たなるメシアだと思っている
それが間違いだと気付けば奴らは貴方に牙を剥くだろう

 

私は事の起こりをよく覚えている
それは神の言葉なんかじゃなかった
我々にとって貴方は一人の人間だった
信じてくれ、貴方への尊敬の念は未だ失せてはいない
でも今や貴方の語る言葉は
違う方向へと捻じ曲げられてしまっている
奴らが貴方のことを嘘つきだと思えば
その牙は貴方に向けられるのだ

 

ナザレ人よ、貴方の高名なる息子は
木彫り職人だった父親と同じように
偉大なる名もなき一人であるべきだった
彼も良きものを作れたはずだったのだ
机に椅子にオークの棚
こういったものがジーザスには適していたのだ
誰も傷つけることなどなかったろうに
警告する者など一人もいない

 

聞いてくれジーザス、我々の民族のことは頭にないのか?
自分の領分を保っておこうとは思わないのか?
我々は占領されているのだ
制圧された時のことをもう忘れてしまったのか?
私は群衆が恐ろしい
我々の声は大きくなりすぎている
我々がやりすぎてしまえば、奴らは我々を破滅へと導くだろう
奴らが加減を間違えてしまえば…

 

ジーザス、私の警告に耳を傾けてくれ
覚えていてくれ、私はただ皆で生きていたいだけなのだ
しかし時が経つほどに希望はどんどん薄くなってゆく
信者たちは盲目だ
その心は天国のことばかり
以前は素晴らしいことだと思っていたが、今はただ苦々しい
ああ、ただただ苦いばかりだ