いちご畑よ永遠に

洋楽歌詞和訳倉庫

The Golden Boy - Freddie Mercury

youtu.be

アルバム『バルセロナ(Barcelona)』収録曲。

この曲は途中でゴスペルが入ってきたり、構成がいくつかに組み立てられていたりとミュージカル的要素の強い作品です。I love you〜パートに入る前のピアノ、レミゼラブルのOne Day Moreのイントロっぽくないですか?また歌詞もストーリー仕立てになっており、ここでもブロードウェイ感があるなと思います。

その歌詞のことですが、内容は魅力的なセレブリティの男に近づいた欲深い女が、男の栄転に従って本気で好きになるも振られてしまうというストーリー。ここで出てくるThe Boyはおそらくフレディがモデルなんじゃないかと思うのは私だけですか?歌を歌う優雅な所作の男…って絶対フレディでしょ!そして女性ですが…私この歌詞ってずっとフレディと彼のかつての恋人メアリー・オースティンをモデルにしてるのかなーと思っていたんですよ。実際ネットで調べてみると私以外にもそうじゃないかと推測している人が何人かいました。ただ、改めて歌詞を見てみると一つ気になった箇所がありまして、それは彼女がThe boyに向かって言う愛の言葉の中にA love I dare not nameという一文があることです。このA love I dare not nameに近いもので、"The love that dare not speak its name"という有名な言葉があります。これはかの有名なイギリス人作家オスカー・ワイルドの同性の恋人であったダグラス卿のTwo Lovesという詩の中に出てくる言葉で、同性愛を表す一文として非常に有名です(wikiでは「あえて口にすることの出来ぬ愛」と訳されていました→アルフレッド・ダグラス - Wikipedia)。この言葉と非常に近い一文をあえて持ってきたことをみると、もしかするとここに登場するThe Girlのモデルは、実はフレディのかつての男の恋人だったのかもしれません。……欲深いフレディの(自称)恋人と言ったら映画でもボロクソに叩かれてたポールが浮かぶよなぁ…いやあんな奴歌にする価値もないか…。

動画はフレディとデュエット相手のモンセラート・カバリェによるパフォーマンス映像。見ての通り、本当に歌っているわけではなく、口パクです笑 この方、フレディが凄く尊敬していた素晴らしいオペラ歌手なんですが、クイーンのベーシストのジョン・ディーコン氏は彼女のことをインタビューでこっそり「あの大っきい女の人」呼ばわりしてました。いや本人聞かないだろうからってそりゃないぜ君……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

The Golden Boy

少年は魅力的に言葉を操り、歌を歌い、振舞いは優雅だった
自然と人を楽しませ、その場にふさわしくない所作はしなかった
その人生は明確に道が描かれ、少年に躊躇いなどなかった
多くの人が目にした
運命に縛られず心のままに行動し
そうして勝利を収めた彼の姿を

 

少女は鉄のようにかたく冷たい心を持っていた
その優しさの皮を被った世俗的欲望に
誰一人として気が付かなかった
少女は彼が有名であることを知ったうえで
少年に己を差し出した
贅沢な暮らしにスポットライト、そして彼の名声を当てにして

 

(そうして少年は少女にこう歌った)

 

君の静かで、穏やかなところが好きだよ
しんとして落ち着いた、この息抜きのような時間が
僕の心に忍び込んできて
じわじわとのめりこんでしまう

 

あなたのその炎のような情熱を愛してる
火柱に焼かれて、激しい欲望が私を燃え上がらせる
これは、口するのが憚られる恋

 

彼はやすやすと階段を駆け上がり
その振舞いにふさわしきスターとなった
彼は己が芸術に狂わされていた、それだけのことだった
輝かしい報酬といった卑しい考えとは無縁だったのだ
賞は彼の作品が注目され一目置かれていることの表れだった

 

君の静かで、穏やかなところが好きだよ
しんとして落ち着いた、この息抜きのような時間が
僕の心に忍び込んできて
じわじわとのめりこんでしまう

 

そう少年は真実を語った、その通り、真実を告げたのだ
彼は全ての栄誉を一身に受けた
その度に彼は巧みに興味なさげなポーズをとったが、
それもこうして選ばれるため入念に仕込んでおいたものだった
いつしか彼は自分が人々の語る彼の評判と同じだけの
いやそれ以上の人物なのではないかと信じるようになった
その一方で少女の方は昔自分が彼を欲していた
その打算的理由のことなどすっかり忘れてしまっていた

 

あなたのその炎のような情熱を愛してる
火柱に焼かれて、激しい欲望が私を燃え上がらせる
これは、口にするのが憚られる恋

 

しんとして落ち着いた、この息抜きのような時間が
僕の心に忍び込んできて
じわじわとのめりこんでしまう

 

そして遂に別れの時が来た
彼女は自分がかつてのようなかたくなな心のままだったらと
彼と同じくらいの皮肉屋であったならと願わずにはいられなかった
彼の栄転の陰で、彼女の状況はどんどん悪くなっていった
かつて二人を喜びに舞い上がらせた言葉は
今やまるで呪いのように木霊するばかりだった